もう1つの原子力発電


 地震で東電の原発が止まって、東京の電力が足りなくなるかもしれなくて、大変になっているようですね。その話題のブログをいろいろ見てるうちに、聞いた事のない単語を耳にしました。


トリウム型原子力発電、という言葉です。


 今全国にある従来型の原発は、ウラン235を燃やすウラン・プルトニウム型で、僕はそれしかないものだとてっきり思っていたのですが、ウランの代わりにトリウムという物質を使い、トリウムに中性子を当ててウラン233(天然には存在しない同位体)を生成し、それを核分裂に使うという、トリウム型というのも昔から考えられていたそうです。

 従来の原発では燃えかすとして厄介で、しかも核兵器にも転用可能なプルトニウムが残るのだけど、トリウム型ではなんとそのプルトニウムの発生量が1/10以下で、その上できたプルトニウムもそのまま一緒に燃やせるそうで、ややこしい燃料再処理等の必要がないそうです。ということで、燃えかすのプルトニウムを貯め込むことによる、核兵器所持狙いの疑いを晴らせるというまさに日本にピッタリな型の夢の原発と言えます。今日本にはけっこうな量のプルトニウムが貯まってて、そのせいでIAEAから目をつけられているんですよ。まぁ日本の平和ボケ具合は外人には分からないだろうから、そのへんはまだまだ杞憂なんですけどね。

 あと、燃料は固形でなく、はじめから高温の液体状態で動かす、熔融塩炉という方式らしいので、従来型のメルトダウン(炉心熔融)のような暴走が原理上起こらないとのこと。まさにいいことばかりではないですか!この間ナトリウム漏れ事故を起こしてずっと止まってる高速増殖炉よりも、こちらのほうが良いのではないかと主張する学者もいて、本を書いています。早速注文してみました。

http://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%80%8D%E9%9D%A9%E5%91%BD-%E5%8F%A4%E5%B7%9D-%E5%92%8C%E7%94%B7/dp/4166601873

 ただ、各国で原子力研究の早い段階でウラン型が選択されたのは、どうも燃えかすのプルトニウム核兵器製造にも使えるというのが大きいポイントだったようで、プルトニウムが無くなるトリウム型はそれほど魅力的ではなかったようです。まじめに作ろうと考えてるのは、トリウム産出量の多いインドくらいだとか。だけど地球上のウランも埋蔵量そんなに多くないし、しかも政情不安定な地域が多いらしいから、中東の原油並みに安定供給が難しいそうで、それなら、これを検討してみるのもいいのではないかなぁ、と真面目にちょっと思いました。


 怪しい情報なんだけど、日本でこのトリウム型原発の研究が進みそうになるとどっかから横やりが入って、予算が出なかったりするそうで、それは某大物政治家が陰で圧力をかけているのじゃないか、なんて噂があるそうです。その政治家が死ぬまでは無理だ、なんて書いてありました。誰だろう・・・ひょっとして不沈空母?

 まぁ、マトモに核兵器所持を気取るよりも、まだ世界のどこも手をつけてない夢の原子力発電を実用化させて、プルトニウムの処分の道を開くというのは、核廃絶を唱えて来た日本としては、めちゃカッコいい事ではないかなぁ。これならば反核団体や反原発団体も納得…しないかなぁ?(きっとただ単に反体制したいだけなのかどうかの試金石になりますね・笑)なんてことを思いました。