学歴インフレ

http://inoue0.exblog.jp/6374841

学歴が社会生活上有利な構造をもつ社会がいったん出来上がると、上級学校に入学志願者が殺到し、競争が激化するため、定員増加圧力が高まる。定員増加が実現すると、数年後には、上級学校の卒業者が増えて、学歴の価値が低下するため、さらに高い学歴を求めて、もう一段上の上級学校へ進学したがる学生が増えて、同じことが繰り返される。ドーアはこの現象を「学歴インフレ」と呼んだ。教育資源が、人間の能力の開発ではなく、差別化に使われて無駄になる。

もしも、財政上の問題で、上級学校の進学枠を厳しく制限した場合、今度は受験競争が激化する。この場合、下級学校が事実上の受験予備校と化してしまって、教育内容が歪んでいく弊害が指摘されている。ペーパーテストで点数化可能な能力ばかりが開発され、そうでない能力開発はおざなりになる。

ドーアは、解決策として、高等教育機関に入学する前に、強制的に就職させることを提案している。言い換えると、職場における推薦があって、はじめてそれに関係した高等教育を受けられるようにすべしという。この方式の利点は、職業と遊離した名目的な教育を避けることができることだ。

ポスドク問題に適用するなら、大学院進学には、一部の理論的な学科を除いて、職業経験を義務付けてはどうかと思うのである。

なるほど。確かに日本では「学歴インフレ」と「高校課程の受験予備校化」がかなり進んでる気がしますね・・・。大学卒業程度の学歴は既にインフレによってだいぶ価値が相対的に下がっていますし、高校も予備校化がほぼ完全に進んでしまっています。・・・まぁモラトリアムという意味では無意味ではないと思いますが、相当の社会コストがかかっていることは事実ですね。

大学院重点化でだいぶ院卒の価値もインフレで下がりました。ポスドク問題の解決に職業経験の義務化ですか・・・。結構説得力があるように感じてしまいますね。