あわや野宿の危機

大阪と京都の途中にある中規模ベッドタウンまで、車で帰る人に同乗させてもらうことになった。そのほうが電車代が安く済むし、もうすこし話していたかったし。思わぬ罠が待ち受けていたとも知らずに・・・。
送ってもらったお礼を言って別れた後、残りの帰路を電車で帰ろう・・・と思ってふと、財布や携帯が入ったポーチが無い事に気づいた。そういえばクルマの中で邪魔だから外したんだっけ。少しお酒が入っていたとはいえ、痛恨の極み…。
さあ、終電の時間が近づく中、私は無一文。手元には手帳くらいしか無い。ダメもとで手帳を探ると、景品でもらったQUOカードが出て来た。コンビニで主に使えるプリペイドカード。だがこれで切符は買えない。さてどうするか。

不審者扱い

主婦仲間とおぼしき5、6人が立ち話をしていた。これだけいれば1人くらい応じてくれるかも、と思い、


“財布を落としてしまって困っているんです、どなたかこのQUOカードを現金と交換してくれませんか?”


と持ちかけてみたところ、


“いいです。”と笑顔で手を振って答えが返って来た。


いいですって、交換してくれるの?と思いきや、向こうは拒否のつもりで言ったらしい…っていうか思いきり不審者を見る目でこっちを見ている。この超エリート大学院生の俺様に向かってなんたる仕打ち…こんな辱めを受けようとは…。だいたい困っていると言っているのに、交換さえ嫌なのか…。関西の人は人情深いのでは無かったか?いや、待てよ。もしかしたらQUOカードを知らないとか。だとしたら仕方ないか。もう主婦を頼るのはやめよう。

一縷の望み

駅の周りには、なんとQUOカードが使えるコンビニがないようだ。(大手ではセブンイレブンファミリーマート、ローソン以外では使えない)ますます雲行きが怪しくなって来た。残り30kmを歩いて帰るしかないか…と諦めかけたそのとき、手帳からもう1枚、今度はUFJニコスのギフトカード1000円券が出て来た。裏面を読むと、ダイエーイズミヤ等のデパートで使用できるとの事。確かダイエーグルメシティがさっき通ったところにあった!!しかも最近のダイエーは深夜までやってる!!これはいけるかも!!

結局最後は泣き落とし

おばさんのパート店員にギフトカードが使用できるか聞いてみたら、


“はい。お使いになれますよ。だけど、おつりは出ないんです。”

“・・・え?”


完全に望みを絶たれたか…?だが負けてられない。


“えっと、これで一度買ったことにして、間違いましたと返品することはできませんか?実は財布を無くしまして…”


と必死で食い下がる。根負けしたのか、パートのおばさん、


“…じゃあお気の毒ですし、私が現金と換えてあげましょう。”


…やっと、やっとこれで帰れる!!おばさんあんたいい人だよ!! という訳で、ちゃんと、そのとき出せる最大限のお金で買い物をし、パートのおばさんにお礼を言い、残りで電車の切符を買って、京都までの電車に乗り込んだのでした。

教訓

  • イザというときに制約が邪魔になる金券のたぐいは、さっさと使い切るか換金してしまったほうがよい。
  • 通りがかりに主婦を頼るのはよそう。むしろダイエーのパートのおばさんの方が人情深いと思われる。
  • 財布以外にも1カ所、例えば手帳とかに、小額の紙幣かクレジットカードを挟んでおいたらこんなとき役に立つかも。

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