学力は本当に低下したのか?

OECDが行った国際学習到達度調査(略称PISA)の結果が報道され、日本の成績ランキングが下がっていたので、あちこちでゆとり教育のせいだと騒がれています。今回の調査で世界の57の国・地域中、日本は科学的応用力が前回の2位から6位に、数学的応用力が6位から10位に、読解力も14位から15位になったそうです。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20071205ur05.htm

今回の結果で深刻なのは、前回までトップグループだった「数学的応用力」と「科学的応用力」が大きく落ち込んだ点。
「数学的応用力」は、前回と共通出題の48問中40問で正答率が下回り、得点も前回の534点から523点に下がった。台湾が1位、香港が3位、韓国が4位とアジアの国や地域がトップグループをほぼ独占する中、日本は、1位だった前々回と比べて34点も下げた。

理系科目でランクが下がったのは大きなショックだったようで、たった1日で"脱ゆとり教育"を掲げた新学習指導要領の前倒し実施が決定されるなど、ものすごい影響力です。数字が与えるインパクトって大きいですね。(そういえば放射線でも自然界の○○倍とか、よくありますよね)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20071205ur21.htm

だけども、このランキング低下ってホントにゆとり教育のせいなんでしょうか。別にゆとり教育を擁護するわけじゃないんですけど、ランキングが低下したことと学力低下を直結して考えるのはちょっとどうかと思うんです。wikipediaには2003年の結果までしか載ってませんが、そこにこんな記述がありました。
OECD生徒の学習到達度調査 - Wikipedia

日本の順位低下の理由は調査参加国が増えたためであり、統計的に見て学力低下があったとはいえない。ただし、逆にこれは、もともとの「日本の生徒の学力は世界で一位、二位を争う」という認識は少数の国との比較による誤解から生まれた神話であったということになる。

今回もそんな感じなんじゃないんでしょうか?2003年は41か国だそうですから17か国増えてるんです。安易に数字に振り回されないで、これからの教育をどうするのかをじっくり考える姿勢が大事なのではないでしょうか。

ちなみにPISAトップ常連のフィンランドは授業時間も短く、塾に行く生徒も少ない、まさにゆとり教育を地でいくシステムなんですよね。
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200712060047.html
http://sankei.jp.msn.com/life/education/071204/edc0712042147005-n1.htm
asahi.com: 比較・競争とは無縁 学習到達度「世界一」のフィンランド - この記事を手がかりに
ゆとりをやってるフィンランドがトップで、日本のランクが落ちたのはゆとりのせい、というのはちょっと論理が通ってないのではないかと思います。