公教育再生論
去年、興味の向くまま教育に関する記事を集めたり統計を読んだりこのブログでも何回か吼えたりしました。そんでいろいろ読み聞きしたんですけど、そのなかに、ダントツで説得力がある本がありました。
- 作者: 藤原和博
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2007/03/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この著者は、東京都内で民間人で初めて公立中学(杉並区立和田中)の校長になった方で、杉並区や地域社会を巻き込んでユニークな取り組みを実践しています。例えば地域の大人をボランティアとして学校活動に巻き込み、"土曜寺子屋"を開催したり、図書館を充実させたり、環境を整備したり、答えの出ない社会問題や世の中の問題を校長自ら語り生徒に考えさせる"よのなか科"の時間をつくったり。けっこう反響があるようで、マスコミ等で取り上げられる事もあるとか。
これらの取り組みの核には、今の公教育をとりまく社会の現状をどう見て、それにどう対応するかということがあるのですが、この核の部分が非常に共感できるというか、説得力があるんですよ。どんな考え方かというと、
教育というのは学校だけでなく家庭や地域社会でも行われてきたものだが、現在は社会の変化によって家庭や地域社会の機能が低下し、その分学校にかかる負担が増大して機能不全に陥っている。これに対応するには根本的には家庭や地域社会の機能を回復させるしかないんだけどそれは一朝一夕には難しいので、代替手段として、周囲の大人やボランティアを呼び込んで学校の中に"ミニ地域社会"を構築し、機能強化を図ろう、というもの。
道徳を教科にすればうんぬんとかいう某教育再生会議とかの的外れな議論とは大違いで、やっぱり実践してそれなりに成果をあげておられる方ならではの重みがあります。このような校長先生が増えたらいいですね。