ピロリ菌が食道腺ガンを予防する
ピロリ菌のCag A遺伝子陽性株を有する人は、食道腺癌になる比率が約半分に
ピロリ菌は世界人口の約半数がもっているといわれ、胃癌や胃潰瘍の原因として知られている。公衆衛生や抗生物質の普及により以前ほど多くはみられなくなり、胃癌や胃潰瘍も減少している。ピロリ菌CagA陽性株も同時に減少する一方で食道腺癌が増大しており、この2つのファクト(事実)は関連しているという。食道腺癌はかつてはまれな癌であったのが、今では米国や英国などの西洋諸国で食道癌全体の約半数を腺癌が占めている。
潜在的な致死能力をもちながらピロリ菌が長い間ヒトと共存してきた事実から、「下痢性疾患や喘息の減少への寄与など、何らかの有益な効果があるのだろう」とKamangar氏は述べている。
悪いことばっかりではなかったんですね。といっても胃癌のリスク>食道腺癌のリスクでしょうから、除菌するに越したことはないんでしょうけども。
ところでピロリ菌といえば、こんな歌があるみたいです。
NHKのみんなのうたに出てきそうな歌ですね。今度カラオケで配信*1されるそうです。こんなかわいい菌なら飼ってもいいかも(笑)
粘菌に北海道の交通網を解かせる
今年のイグ・ノーベル賞、単細胞生物の粘菌に迷路を解かせた研究で北海道大の中垣教授らが受賞したのですが、その話題を取り上げた以下のエントリが面白かったのでリンクを。
今回の日本人学者へのイグ・ノーベル賞授与で「交通生物学」という新しいジャンルが開拓された。 - とれいん工房の汽車旅12ヶ月
受賞あいさつで、中垣氏が「日本の辞書で単細胞は頭が悪いと書かれているが、単細胞はわれわれが考えてきたよりずっと賢い」と話すと、数百人の観客から拍手と歓声を浴びた。(共同通信 2008/10/03)
かっこいいセリフですねぇ。僕もこんなセリフ言ってみたいなあ。
また、中垣先生はこの研究を応用(?)して、粘菌に北海道の交通網を設計させる実験も行ったようです。
北海道の形をした寒天の培地を用意し、札幌や旭川、函館といった主要都市の位置に餌を置き、粘菌の動きを見る。
完璧ではないにしろ、現実の道路・鉄道網と結構似ている様子。人間の活動も結局は移動距離やら何やらを最適化するように動くという点では、粘菌と変わらないのかも知れませんね。
粘着テープを勢いよくはがすとX線が出る
http://sankei.jp.msn.com/science/science/081023/scn0810230922001-n1.htm
骨の透視撮影ができるとは驚き。被曝量はどのくらいなんだろうか。
大阪府・市町村別の学力テスト結果もやはり所得と相関
学力テスト開示…強引・橋下流に賛否 「活性化」「信頼崩れた」 ー読売新聞 関西版
門真市、岸和田市、守口市、大東市がえらい低いです。成績がいいのは箕面市、豊中市、豊能町など。
で、調べてみたんですが、2007年2月14日の毎日新聞に大阪の市町村別平均所得ランキングが載ってたようです。以下に抜粋すると、
■府内トップ5 左の数値は全国の自治体での順位。右は平均所得(万円) 18 箕面市 464 36 吹田市 421 37 豊中市 420 41 豊能町 418 63 池田市 403 ■府内ワースト7 524 守口市 325 550 摂津市 323 560 大東市 323 592 岬町 321 599 泉佐野市 320 643 忠岡町 318 748 門真市 311
やはり所得と学力の相関関係を示唆する結果になってます。忠岡町、岬町は今回非公開だったわけですが、やっぱり点数悪かったのでしょうかね。
同じ市でも小中学校で少し違う傾向があって、大東市、守口市は中学で大きく点数が下がってます。おそらく学力上位層が私立校に行ってしまうせいではないかと思われます。それに対して岸和田市は小学校ではワースト2なんですが中学がわりとがんばってます。何が原因なんでしょうか?
あと泉佐野市も、所得ランキングで見ると低位なんですが成績ではそれほど目立って悪くないです。そのあたりも気になるところです。
学力テストの結果は日教組票の数でなく所得と相関
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/185211/
少し前のニュースですが、産経にこんな記事が載りました。以前にもこのブログで、関係するのは日教組じゃなくて低所得じゃね?となんて記事を書いたことある(id:nucleotide:20071028)し、この件は気になってたんですが・・・。この記事の産経の数字の扱いが酷すぎてものを言う気力もありません。数字の絶対数を比較してどうするよ・・・。最大限何か言うにしても、まとまった数の票を動員できるかどうか、といった定性的なことしか言えないだろうに・・・。
っと、ツッコミを探していたら、こんな良エントリがありました。
http://ottanti.at.webry.info/200810/article_13.html
都道府県別の学力テストの結果と、親の所得*1の相関係数は約0.6ということです。物価とかを考慮していないけれども、これはやっぱりかなり強い相関だと言えるのじゃないかなぁと。
そういえば、昔ブックマークしたPISAに関するコラム記事に、こんな記述がありまして…
http://www.mizuho-ir.co.jp/column/shakai071211.html(みずほ総研)
むしろ注視すべきは、「読解力」において習熟度が著しく低い生徒の割合が、2003年に急増したまま推移している点である。「読解力」の習熟度は6段階で評価されており、最低レベルは「レベル1未満」である。これは、最も基礎的な知識と技能が身についていないレベルであり、教科書を読んでも理解する能力がなく、学校で教えることに全くついていけないレベルといわれている。「レベル1未満」の生徒の割合をみると、2000年に2.7%であったのが、03年7.4%、06年6.7%と推移している。
著者は「レベル1未満」の生徒の増加が、不景気で低所得の家庭が増えたのと関連があるんじゃないかと言ってましたが、上の記事と併せて読むと、こいつをなんとかしないと階級固定化の危険が!!とか言いたくなって来ます。
さらに、学研の進学情報サイトに、こんな記事も。
「大学全入時代」が進学格差を隠蔽する ー 学研 進学情報
調査の詳細が不明だけど、”学力下位層が容易に大学に行けるようになったのに対し、中学での成績が上だったのに大学に行かなかった層が3割居る”ってところがショッキングです。ここでも格差か、ということになると、さすがに問題を感じないわけにはいきませんよね。こういうところにスポットライトを当てるヒトがもっと出てきてくれないかなぁ。